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新着順 10 users 50 users 100 users 500 users 1000 users災厄日記 その7 夜のもとで防御もなく | ガメ・オベールの日本語練習帳_大庭亀夫の休日ver.5
山中伸弥さんがつくったCOVID-19サイトが安んじて信用できるのは、このひとの実績よりも、篤実で知られる人柄よりも、思考の過程が、どんな迂闊な人間にも判りやすいように書いてあるからでしょう。 https://www.covid19-yamanaka.com/cont7/main.html 数学でいえば「たしからしいこと」を出発点に、まず、それが疑いも... 続きを読む
ふたたび、汚れた髪について | ガメ・オベールの日本語練習帳_大庭亀夫の休日ver.5
いつもの駅でおりて、5分も歩けば家に帰り着くのに、駅前のドトールコーヒーに入って、煙草をふかしている。 そのまま、一時間たって、二時間になって、もう店のひとたちが、ちらちらこちらを見だしているのに、たちあがれなくて、泣きだしたい気持になっている。 十二時を過ぎてやっと眠れたのに、午前4時に目が覚めて、そのまま二時間、ベッドから出られないでいる。 どうせ早く目がさめたのなら、Tシャツに裸足のままキッ... 続きを読む
言葉と国防 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
1932年、 ミュンヘンを訪れていたチャーチルに、Putzi Hanfstaenglを通じて、密かに連絡したヒットラーは、クルマから降りて、待ち合わせたホテルのロビーのドアの前まで行くが、変心して「会わない方がいいようだ」と述べて踵を返して帰っていった、とチャーチルの孫、ウインストンSチャーチルが述べている。 この人にとっての父親、ウインストンチャーチルの息子であるランドルフが、そのとき一緒にいた... 続きを読む
空をみあげる若い人への手紙 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
「僕は2万6千アカウントほどブロックしてるから、ブロック数でガメさんにきっと勝ってる」 という、きみのツイートを見つけて笑ってしまった。 とても、きみらしい、と考えた。 そう言えば、まさきさんは、(←いつのまにか名前が書いてあるので呼びやすくなった)どのくらいフォロワーがいるのだろう、とおもってみたら 「269」とあったので、これもきみらしいとおもって、また笑みがこぼれた。 以前は、ぼくは1000... 続きを読む
スタートレックとヘンケン博士 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
マイク・ホンダ下院議員が日本人のくせに反日で許せないという非難が日本語サイトのあちこちに巻き起こって、ヒャクタという元国営放送委員のひとが「こいつは朝鮮人だ」と述べている。 さすがは日本の人、と思って感心していたら、アジア人フォーラムに話の顛末が紹介されていて、見かけや出自で、純然たるアメリカ人マイク・ホンダを日本人としか考えられないのは日本人の人種差別・民族差別の心性が魂の底まで及んでいることを... 続きを読む
愚公山を移す | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
なまけものの特徴のひとつは計画を立てるのが好きなことで、押しも押されもせぬ怠け者のチャンピオンたるわしも、だから計画を立てるのが大好きです。 子供の頃からそうであって、イメージとしてペンを片手にほおづえをつくチャーリーブラウンを思い描いてもよいが、顔を使い慣れない万年筆のインクだらけにしながら、ここでこーして、午後はこうできて、夜はこれが出来る、と精密な計画を立てて、満足してはくたびれて眠っていた... 続きを読む
日本語のために(1) | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
日本語のなかで生まれて、日本語のなかで死ぬのは、むかしなら悪いことではなかった。 英語でふざけて言えばThanks to Murasakiで、一人称単数の主語のない、まるで春の陽に温められた大地から立ち上る陽炎のような、美しい日本語の文章を、むかしは日本ではそこだけが文明の土地で、門から一歩を出れば「化外」で、官から地方に荘園をもらっても娘があれば、化外の地に出ては野蛮に染まって、一流の門地のある... 続きを読む
全勝礼賛 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
染みのあるものが嫌いなんだな、というのが、わっしが日本語を勉強しはじめた頃の日本のひとたちへの印象であった。 「純白」が好きであるよーだ。 ピュア好みです。 清浄学園だのい。 ヘンなんだな、というくらいのことでその頃はすませてしまったが、どうも、この問題は初めにわっしが意識していたよりも遙かに深刻なよーだ、と最近考えます。 日本では人間というものは「原則として失敗してはいかんのだ」ということになっ... 続きを読む
声 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
医師になることが人生の保障になると思う人は、どうかしている、と前にも書いた。 枚挙的なことが嫌いな、哲学に向いた 若い人間にとって医学を勉強するのは地獄だろう。 医学に向かない人間が医師になる場合、取り得る道はふたつしかない。 自分の最善の友人たる自分自身に別れを告げて医師という社会的存在の仮面をかぶって、自分とは違うものになりおおせるか、医師であることをやめるか。 あんた、当たり前のことを言うの... 続きを読む
生活防衛講座 その2 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
1 住宅 銀行からオカネを借りて自分の家を買う、という行為は経済論理上はたいへんバカげた行為であることはよく知られている。 ニュージーランドの伝統的なホームローンへの感覚は、固定金利9%の15年ローンで、1990年代ならば3寝室の一戸建で二台クルマがはいる車庫がついて庭がある家が15万ドルだったので、ざっと見積もって頭金なしで一ヶ月の支払いが$1500で支払いを終える頃にはだいたい倍の30万ドル弱... 続きを読む
衝立のこちら側で | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
ハリウッド版の呪怨「The Grudge 2」でインターナショナルスクールの女生徒が怨霊によって押し入れに閉じ込められて、必死で引き開けようとして虚しく暴れるところが出てくるが、ポップコーンを食べながらシネマコンプレックスの椅子にカップルで腰掛けて眼を見開いて怖がっている英語人はごまかせても諸事万能の精細な知識を持つ十全外人は誤魔化せない。 襖などは、ほんとうは紙と、か弱い細木で出来ているだけのも... 続きを読む
日本の横顔 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
1 遠くから日本と中国、韓国を眺めていると、おもしろいな、とおもうことがいろいろある。 たとえば日本のがわに「日本に住んでいる韓国人は出て行け」という運動が存在するのに韓国側には「韓国に住んでいる日本人は出て行け」と述べる運動が存在しないらしいことで、韓国人や中国人とはやりとりが英語(ひとりだけフランス語)で、日本語インターネットでみる日本人と知識層がちがうのかもしれないが、韓国人のほうは、なんだ... 続きを読む
ネオ自民党 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
1 オークランドでは、同じレストランにでかけても、味もサービスもまったく異なるものになっていることがよくある。 「ビジネスブローカレジ」(←英語の会話では聞かれない表現だが日本語のカタカナにすると他にいいようがないのが面白い)が発達しているからで、たとえば自分で10年前にラーメン屋を始めて、そこそこうまくいっているが、もうラーメンをつくって暮らすのは飽きたので、ラーメンは食べるほうだけにして、今度... 続きを読む
The Cove | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
ドキュメンタリが事実だけで出来ていると思うひとはいないだろう。 映像は説得力をもたなければ見る人間にとっては退屈なだけだからで、ドキュメンタリが真実性を追求しなければいけない一面で映像は現実にしがみついてばかりはいられないのは、時代劇の考証がいくらすすんでも現実のお侍がそうやって歩いていたように、右足と右手を一緒に出して歩いていては、赤穂浪士も47人のマヌケなおじさんの集まりにしか見えなくなってド... 続きを読む
ふたつの太平洋戦争 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
ドキュメンタリのインタビューに答える元アメリカ人兵士たちの口からは The Japanese didn’t know how to lose. (日本人は負け方を知らない)という言葉がよく出てくる。 くだらないことをいうと英語がわかるひとは「the Japanese」に注意するとよいが、「文明人ではないんだ」というニュアンスの点で、かなり「うんざりだ」という感じの言葉です。 日本では「若者の気持の... 続きを読む
中身のないパイについてのノート | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
日本は社会における競争が少ない、という点で良い国であると思う。 英語圏は「国」としては、70年代80年代のスランプから蘇ったが、個人からすれば競争地獄の悪夢のような社会になったとも言えるだろう。 向こうに用事があって、この頃、家にはオークランド大学の学生がよくやってくるが、見ていると、はっきり言ってしまえば職業訓練校の学生のようなもので、21世紀にもなって「自分の職業的な将来」のために大学で学問を... 続きを読む
憲法第九条の終わりに | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
“L’Italia ripudia la guerra come strumento di offesa alla libertà degli altri popoli e come mezzo di risoluzione delle controversie internazionali; consente, in condizioni di parità con gli altri Stat... 続きを読む
アベノミクスが開いたドアの向こう側(その2) | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
小泉純一郎ほど日本の国内と英語世界で評価が異なる政治家はいないだろう。 この人が首相になったとき、わしは20歳だったと思うが、新聞の記事を読んで 「ずいぶん、わかりやすい人が出て来たんだな」と思ったのをおぼえている。 それまでの日本からのニュースは複雑というよりも脈絡がなく理解不能で、第一、首相になるどのひともこのひとも言うことがやることと整合性がなくて、チンプンカンプンで、なんのこっちゃな人が多... 続きを読む
ウクライナというロシア | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
水木しげるの初期の傑作に「しびとつき」というマンガがあるが、これは、いまではよく知られているようにゴーゴリの小説「ヴィイ」が元になっている。 大学生が田舎の町で一夜の宿を請うと、そこでは若い娘の通夜が行われていて、教会のなかで死んだ娘と朝まで過ごしてやってくれと頼まれた大学生は、夜更けに起き上がった娘の死体に追いかけ回され、娘とやってきた精霊たちから視えないように描いた魔方陣のなかで戦(おのの)い... 続きを読む
「正しさ」という病 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
福島の事故を起こした発電所のまわりには何万人という国にも社会にも同胞にも見捨てられたひとびとが住んでいて、そのひとびとの苦境はひとまずないことにして、インターネット上では放射能が有害か無害か、あるいは「科学的に言って」どの程度有害と見積もればよいか、という議論が続いている。 日本語の「ベビーカー」という呼び名は、あんまりなので、ここではせめて「ストローラー」と言う呼び名で呼びたいが、ストローラーを... 続きを読む
夏目漱石の贈り物 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
「…すると髭の男は、 「お互いは哀れだなあ」と言い出した。『こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、――あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一 の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に... 続きを読む
日本語インターネット | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
インターネットの情報は質が低い、と日本語インターネットの世界ではよく書いているひとがいる。たいてい本読みらしい人が多いので、含意は「活字のほうが情報の質が高い」ということだろう。 インターネットの初期にはかつての「アマチュアリズム」議論を思わせる議論がよくあった。たとえば社会学的な訓練を受けていない人間はどこまで社会の動態を理解できるか、物理学の訓練を受けていない人間はどこまで宇宙を理解できるか。... 続きを読む
個人と社会と | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
人間の歴史に最も影響を与えた「個人の死」はアルキメデスの死だろう。 バートランド・ラッセルたちが指摘しているとおり、アルキメデスが死ぬまぎわに考えていたことはアイザック・ニュートンの微分の概念に限りなく近かったと信ずべき理由がある。 地面に描いた円周に踏み込んだ泥酔したローマ兵を怒鳴りつけた結果、剣で刺し殺されて死んだ、短気で気難しい老人と同じ思考に人間が再びたどりつくのは、アイザック・ニュートン... 続きを読む
2013 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
2013年は新しい凍死(←照れている)手法と外国語習得の年だった。 神様なんて信じていないのに神に感謝するのはイギリス人の奇妙な習慣だが、今年も平和と繁栄の年だったことを神様に感謝しないわけにはいかない。 この2、3年は(主に小さな人びとのせいで)ニュージーランドにいることが多いが、2013年もそうで、イタリアに3ヶ月弱、あんまりここで書きたくない、それぞれ1ヶ月には満たない旅行に3回出ただけで、... 続きを読む
His Old Dream | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日
習近平は困っているだろう。 防空識別圏の設定は外交上手の中国にしては珍しいほどの大失敗だったが、中国政府から見れば、「これだけ強烈な強硬態度をみせれば日本もアメリカも中国の不退転の決意を感じて譲歩するはずだ」という決意に立った、いわば「最後通告」の役割を担う意図的な「晴天の霹靂」だった。 本人たちからすれば「柔弱な民主主義の子」たちの上にくだした「雷神の一撃」というべきつもりのもので、まさか次の瞬... 続きを読む