タグ IT・システム判例メモ
人気順 10 users 50 users 100 users 500 users 1000 usersアジャイル型開発における未完成の責任 東京地判令3.11.25(平30ワ25117) - IT・システム判例メモ
アジャイル型でアプリ開発を進めたところ、完成に至らなかったことについて、ベンダの不完全履行、プロジェクトマネジメント義務違反等が主張されたが、いずれも否定された事例。 事案の概要 eスポーツ事業の企画・運営等を行う原告(X)は、ゲーマー向けソーシャルアプリの開発を構想し、開発ベンダである被告(Y)と... 続きを読む
自治体システムへの不正アクセスとベンダの責任 前橋地判令5.2.17(令2ワ145) - IT・システム判例メモ
ファイアウォール設定の誤りの脆弱性により不正アクセスが行われ、自治体のシステムから個人情報の漏えいした疑いがある件について、ベンダの重過失が認められた事例。 事案の概要 前橋市(X)は、MENETと呼ばれる情報教育ネットワークを有しており、そのデータセンタの移管設計・構築業務を、NTT東日本(Y)に委託し... 続きを読む
ベンダが提供していない決済モジュールの不具合による情報漏洩事故 東京地判令2.10.13(平28ワ10775) - IT・システム判例メモ
ECサイトにおけるクレジットカード情報漏洩事故が、決済代行業者から提供されたモジュールの不具合があったという場合において、開発ベンダの責任がモジュールの仕様・不具合の確認まで及ぶか否かが問われた事例。 事案の概要 Xが運営するECサイト(本件サイト)において、顧客のクレジットカード情報が漏洩した可... 続きを読む
サイト開発の遅れによる契約解除 東京地判令3.12.3(令2ワ5059) - IT・システム判例メモ
サイトの開発が遅れたことによる契約解除の可否が問題となった事例。 事案の概要 XはYに対し、美容業界のメーカー、ディーラー、ユーザーらが情報交換を行うためのウェブサービスに関するアプリケーションソフト(本件アプリ)の開発を委託した(本件契約)。 途中で、XY間は、クレジットカード決済機能を追加し、代... 続きを読む
SES契約における期間途中の撤収の責任 東京地判令3.12.20(令2ワ20021) - IT・システム判例メモ
顧客からのクレームに納得できず、SES契約の期間途中に(ほかの案件も含めて)要員を撤収させたこと適否が問題となった事例。 事案の概要 X社は、下記の図のとおり、A社、B社、C社からそれぞれシステム開発に関する業務を受託し、それぞれの案件に対応する要員a、b、cを、Y社から調達し、その業務を担当させていた。... 続きを読む
幹部による同業他社への引抜行為 東京地判令4.2.16(令元ワ17950) - IT・システム判例メモ
大手コンサルティングファームの幹部が、競合に転職後、チームメンバーらに転職するよう勧誘した行為が、社会的相当性を逸脱するものであるかが争われた事例。 (本件は、「IT・システム判例」ではないが、IT業界全般で起こりがちな話で注目を集める事案なので当ブログでも取り上げる。) 事案の概要 本件の原告は、国際... 続きを読む
準委任契約に基づく報酬請求と善管注意義務違反 東京地判令2.9.24(平28ワ28934) - IT・システム判例メモ
開発は途中で終わった場合でも、準委任契約に基づく報酬請求はできるが、適切な計画立案・実行ができていなかったとして善管注意義務違反が認められた事例。 事案の概要 イベント企画会社Yは、自社の企画するイベントを管理するためのシステム(本件システム)の開発をXに依頼することとした。 平成28年3月にXは開発... 続きを読む
放置系RPGの著作権侵害 知財高判令3.9.29(令3ネ10028) - IT・システム判例メモ
スマートフォン用RPGのゲームの著作権侵害が争われた事例。 事案の概要 放置系RPG*1と呼ばれるジャンルのA(Xゲーム*2)に係る著作権を共有するXが,同じジャンルのB(Yゲーム*3)を配信するYに対し,著作権(複製権,翻案権,公衆送信権)を侵害するとして,著作権法114条2項に基づく損害賠償4800万円,弁護士費用960万... 続きを読む
インフルエンサーキャスティングPFの中抜き禁止合意違反と違約金 東京地判令2.11.6(平31ワ3350) - IT・システム判例メモ
いわゆるインフルエンサー(フォロワー数の多いSNS利用者)と,企業とのマッチングを行うサービスにおいて,直接取引を行った行為が禁止行為に当たるとして,プラットフォーム運営者が企業に対し違約金を請求したところ,違約金条項の有効性が問題となった事案。 事案の概要 Xは,インフルエンサーと企業とのマッチング... 続きを読む
ハッシュタグ使用と商標的使用 大阪地判令3.9.27(令2ワ8061) - IT・システム判例メモ
他社のブランド名のハッシュタグを使用したメルカリの出品者に対して,商標権侵害を認めた事例。 事案の概要 Xは,指定商品を「かばん類」などとする商標「シャルマントサック」(標準文字。本件商標)の商標権者であり,Y(個人)は,自らが製造するかばんなどの商品をメルカリに出品して販売していた。 Yの商品紹介ペ... 続きを読む
1ライセンスでの使用可能な範囲の解釈と,違約金合意の有効性 東京地判令3.3.24(平30ワ38486) - IT・システム判例メモ
ソフトウェアの1ライセンスで許諾される利用可能な範囲と,通常料金の10倍という高額な違約金を定める条項の有効性が問題となった事例。 事案の概要 Xは,メタボリックシンドロームに着目した健康診査及び保健指導に関するデータ作成用のプログラム(本件プログラム)の著作権者である。本件プログラムには,平成30年の... 続きを読む
事業者による「合理的」判断について(モバゲー規約控訴審)東京高判令2.11.5(令2ネ1093) - IT・システム判例メモ
モバゲー会員規約の免責文言について,適格消費者団体が不当条項に当たると主張していた事件の控訴審判決。 事案の概要 B2Cサービスの規約中の「不当に迷惑をかけたと当社が判断した場合」などの文言が不明確であり,それによって事業者が会員資格を取り消したとしても事業者は責任を負わないとする文言は,消費者契約法... 続きを読む
野村vsIBM事件控訴審 東京高判令3.4.21(平31ネ1616) - IT・システム判例メモ
東京地裁の判断が覆されてユーザである野村HDの請求が棄却されたことで話題になった控訴審判決。 結論が大きく変わったので,最初に原審と本判決の判断の違いをまとめておく。 事案の概要 普段は判決文から自分なりに事案の概要をまとめるのだが,今回は判決文冒頭の記載がわかりなすいのでそのまま引用する。 (1) I... 続きを読む
脆弱性対応(Heartbleed)の責任の所在 東京地判令元.12.20(平29ワ6203) - IT・システム判例メモ
クレジットカード情報漏えい事故に関し,その原因の一つと考えられる脆弱性対応が運用保守業務に含まれていたか否かが争われた事例。 事案の概要 Xは,Xの運営する通販サイト(本件サイト)を第三者に開発委託し,運用していたが,その後,2013年1月ころまでに,Yに対し,本件サイトの運用業務を月額20万円で委託した(... 続きを読む
取締役退任後の引継義務履行としてのパスワード開示請求 大阪高判平31.3.27(平30ネ1767) - IT・システム判例メモ
在職中に業務に関するインスタグラムのアカウントを担当していた取締役に対し,パスワードの開示等を求めた事案。 事案の概要 Yは,X社の代表取締役として,個人のgmailアドレスを用いてインスタグラムのアカウント(本件アカウント)を作成し,Xが販売していた商品の写真等を投稿していた。Yは他にも,元ラグビー日本代... 続きを読む
リツイート行為と著作者人格権最判令2.7.21(平30受1412) - IT・システム判例メモ
話題となっていたリツイート行為と著作権・著作者人格権侵害に関する事案の最高裁判決。 事案の概要 下記の原審(知財高判平30.4.25)のエントリでも紹介したが,ざっと繰り返すとつぎのような事案である。 itlaw.hatenablog.com 職業写真家であるXは,Xの著作物である写真(本件写真)を,アカウントAがツイッターアカ... 続きを読む
モバゲー会員規約における免責条項の差止 さいたま地判令2.2.5(平30ワ1642) - IT・システム判例メモ
B2Cサービスの規約中における「当社は一切損害を賠償しません」という条項が消費者契約法が定める不当条項に該当するかが争われた事例。 事案の概要 本件は,消費者契約法(法)13条1項所定の適格消費者団体であるNPO法人Xが,Y(DeNA)が運営するポータルサイトM(モバゲー)が提供する会員規約に,法8条1項に定める不... 続きを読む
コインハイブ事件控訴審判決 東京高判令2.2.7 - IT・システム判例メモ
マイニングツール,Coinhiveをサイトに設置し,閲覧者にツールを実行させていたことについて,不正指令電磁的記録保管罪の成否が問題となった事件の控訴審判決。一審無罪判決から約10カ月たったところ,高裁で逆転有罪となった。弁護人・平野敬先生より判決文を見せていただいた(ブログで紹介することについても了解を... 続きを読む
SQLインジェクション対策不備の責任 東京地判平30.10.26(平29ワ40110) - IT・システム判例メモ
SQLインジェクション対策をしていなかったことについて開発会社の責任が問われた事例。 事案の概要 Xは,Yに対し,Xの提供する車・バイクの一括査定システム(本件システム)の開発を約320万円で委託し,平成24年9月に納品を受けた。 その後Xは,平成28年12月に,IPA*1から,中国のサイトに本件システムの脆弱性に関する... 続きを読む
ブロッキング差止め 東京地判平31.3.14(平30ワ13295) - IT・システム判例メモ
NTTグループが実施すると宣言したサイトブロッキングの実施について差止めを求めた事件。 事案の概要 大変有名な話なので,簡単に紹介する。 平成30年4月に,知的財産戦略本部が,インターネット上の悪質な海賊版サイトに関し,法整備が行われるまでの臨時的・緊急的な対応として,悪質なサイトへのブロッキングには緊急... 続きを読む
開発途中で退職したエンジニアの責任 東京地判平27.3.26(平26ワ12971) - IT・システム判例メモ
開発, 労務ソーシャルゲームの開発中に退職した従業員らが,会社から開発頓挫の責任を追及された事例。 事案の概要 Xは,平成26年2月,ソーシャルゲームの開発を目的として設立され,最大20対20の大人数のリアルタイムバトルができるという特徴を有する本件ゲームの開発を行うこととなった。Y1,Y2兄弟は,Xの設立前から,Xのグループ会社の依頼を受け,本件ゲームの開発に関わり,Xが設立された後には,Xの従... 続きを読む
ソフトウェア取引契約の性質・趣旨 大阪地判平26.7.15(平26ワ995) - IT・システム判例メモ
開発開発・提供されたソフトウェアに関する契約の内容,性質が問題となった事例。 事案の概要 Y(自治体)の教育委員会教務課のPはYの運営する市立高校の運営事務のOA化の必要性を感じていた。Pは,Xの代表者Qが自治体勤務経験を有すること等から,授業料等の収納を行うソフトウェアの開発を打診した。 Xが開発した高等学校の生徒情報,徴収金管理等の機能を有するソフトウェア(本件プログラム)は,平成18年末ころ... 続きを読む
SNS野球ゲームの著作権侵害 東京地判平25.11.29(平23ワ29184号) - IT・システム判例メモ
知財「プロ野球ドリームナイン」をGREE上で提供していたXが,Mobage上で「大熱狂!!プロ野球カード」を配信するYに対し,著作権侵害等を理由に損害賠償請求,差止請求した事件。 事案の概要 Xは,平成23年3月以降,GREEにおいて,「プロ野球ドリームナイン」というゲーム(Xゲーム)の配信を行っていた。同じく,Yは平成23年8月頃から,Mobage上で,同じくプロ野球ゲーム(Yゲーム)を配信して... 続きを読む
動画サイトへのリンクと著作権侵害 大阪地判平25.6.20(平23ワ15245号) - IT・システム判例メモ
知財, ネット情報サイトに動画サイトへのリンクを貼るという行為の著作権侵害が否定された事例。 事案の概要 個人で動画を撮影し,ニコ生等のサイトで配信する行為を行っていたX(割とその世界では有名人?)は,平成23年6月に自己の行動の様子を撮影した動画をニコニコ動画(本動画サイト)にアップロードした。 これに着目した情報提供サイト「ロケットニュース」(本件サイト)の運営者Yは,この動画に関する記事を掲... 続きを読む
要件が確定しなかったことにつきベンダに責任がないとされた事例 東京地判平22.7.22(平20ワ16510号) - IT・システム判例メモ
開発ユーザがベンダに対し,ベンダが一方的に開発契約を解除したとして,損害賠償を求めたが棄却された事例。 事案の概要 ユーザXは,ベンダYに対し,平成14年9月18日に,Xの人材派遣業務に必要なシステムとして2つのシステムの開発を委託した(契約金額の合計は840万円)。 その後,Yは,9月25日にはソフトウェアの概要仕様を記載したシステム設計書を交付したが,Xは内容不十分であるとして記名押印を拒絶し... 続きを読む