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新着順 10 users 50 users 100 users 500 users 1000 usersスーパークレイジー君の当選によせて - 西東京日記 IN はてな
2021年1月31日の埼玉県戸田市の市議会議員選挙(定数26)において、2020年の都知事選でもそのパフォーマンスが話題なったスーパークレイジー君こと西本誠氏が25番目の912票の得票で初当選しました(政治家としてもスーパークレイジー君として活動するとのことなので、以下もスーパークレイジー君で)。 都知事選では「百... 続きを読む
東島雅昌『民主主義を装う権威主義』 - 西東京日記 IN はてな
「民主主義」の反対となる政治体制というと「独裁」が思い浮かびますが、近年の世界では金正恩の北朝鮮のようなわかりやすい「独裁」は少なくなっています。 多くの国で選挙が行われており、一応、政権交代の可能性があるかのように思えますが、実際は政権交代の可能性はほぼ潰されているような体制の国がけっこうありま... 続きを読む
上林陽治『非正規公務員のリアル』 - 西東京日記 IN はてな
ある制度が良いのか悪いのかというのはなかなか難しく、簡単には判断を下せないケースが多いのです。例えば、選挙制度は小選挙区制がいいのか比例代表制がいいのか、日本型の雇用制度が良いのか悪いのか、といったことは一概には判断を下せないと思っています。 そんな中でも、個人的に明確に「悪い制度だ」と考えている... 続きを読む
玉手慎太郎『公衆衛生の倫理学』 - 西東京日記 IN はてな
新型コロナウイルスの感染拡大の中で、まさに本書のタイトルとなっている「公衆衛生の倫理学」が問われました。外出禁止やマスクの着用強制は正当化できるのか? 感染対策のためにどこまでプライバシーを把握・公開していいのか? など、さまざまな問題が浮上しました。 そういった意味で本書はまさにホットなトピックを... 続きを読む
平野克己『人口革命 アフリカ化する人類』 - 西東京日記 IN はてな
去年の夏に出たときに読もうと思いつつも読み逃していたのですが、これは読み逃したままにしないでおいて正解でした。 著者が2013年に出した『経済大陸アフリカ』(中公新書)は、アフリカの現実から既存の開発理論に再考を迫るめっぽう面白い本でしたが、今作も人口について基本的な理論を抑えつつ、それに当てはまらな... 続きを読む
小熊英二、樋口直人編『日本は「右傾化」したのか』 - 西東京日記 IN はてな
ここ最近話題になっている「右傾化」の問題。「誰が右傾化しているのか?」「本当に右傾化しているのか?」など、さまざまな疑問も浮かびますが、本書はそういった疑問にさまざまな角度からアプローチしています。 実は、国民意識に関しては特に「右傾化」という現象は見られないが、自民党は以前より「右傾化」している... 続きを読む
トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』 - 西東京日記 IN はてな
本書を「『21世紀の資本』がベストセラーになったピケティが、現代の格差の問題とそれに対する処方箋を示した本」という形で理解している人もいるかもしれません。 それは決して間違いではないのですが、本書は、そのために人類社会で普遍的に見られる聖職者、貴族、平民の「三層社会」から説き始め、ヨーロッパだけでは... 続きを読む
善教将大『維新支持の分析』 - 西東京日記 IN はてな
ここ最近、「ポピュリズム」という言葉が、政治を語る上で頻出するキーワードとなっています。アメリカのトランプ大統領に、イギリスのBrexit、イタリアの五つ星運動にドイツのAfDと、「ポピュリズム」というキーワードで語られる政治勢力は数多くいるわけですが、では、日本における「ポピュリズム」といえば、どんな勢... 続きを読む
岸政彦/梶谷懐編著『所有とは何か』 - 西東京日記 IN はてな
私たちはさまざまなものを「所有」し、その権利は人権の一部(財産権)として保護されています。「所有」は資本主義のキーになる概念でもあります。 同時に、サブスクやシェア・エコノミーの流行などに見られるように、従来の「所有」では捉えきれない現象も生まれています。 本書は、この「所有」の問題について研究者... 続きを読む
よりよい床屋政談のために〜2021年衆院選のためのブックガイド〜 - 西東京日記 IN はてな
岸田内閣が成立し、衆議院の総選挙が10月31日に決まりました。政治好きとしては「総選挙」と聞くだけでなんとなく盛り上がってしまうのですが、ここ数回の国政選挙に関してはその結果に不満を持っている野党支持者、あるいは無党派の人も少なくないと思います。 「なぜ自民が勝ってしまうのか?」、「毎回野党に勝ち目が... 続きを読む
ジェリー・Z・ミュラー『測りすぎ』 - 西東京日記 IN はてな
民間企業だけでなく、学校でも病院でも警察でも、そのパフォーマンスを上げるためにさまざまな指標が測定され、その指標に応じて報酬が上下し、出世が決まったりしています。 もちろん、こうしたことによってより良いパフォーマンスが期待されているわけですが、実際に中で働いてみると、「こんな指標に意味があるのか?... 続きを読む
ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか』 - 西東京日記 IN はてな
一言でいえば新自由主義批判の本ですが、新自由主義がいかに格差社会を生み出したか、というような批判ではなく、新自由主義が政治の語彙を経済の語彙に変えてしまい、それが政治を歪めているということを、フーコーの『生政治の誕生』における「統治」の概念を用いながら批判的に分析しています。 と、書くと、読んだ人であれば稲葉振一郎 『政治の理論』 を思い出すかもしれません。 稲葉振一郎の『政治の理論』でも、フーコ... 続きを読む
マイケル・L・ロス『石油の呪い』 - 西東京日記 IN はてな
サウジアラビアやUAEやクウェートやカタール、あるいはブルネイ、あるいはノルウェー、いずれも豊かな産油国であり、「それに比べて資源の乏しい日本では…」といった思いを抱きがちですが、経済学を少しかじったことのある人なら、石油の存在がかえって経済成長を妨げる「オランダ病」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。原油の輸出が通貨高をもたらし、その他の産業の競争力を削ぐという現象です。 しかし、「石油... 続きを読む
ローレンス・サマーズ、ベン・バーナンキ、ポール・クルーグマン、アルヴィン・ハンセン著/山形浩生編訳『景気の回復が感じられないのはなぜか』 - 西東京日記 IN はてな
サマーズが口火を切り、バーナンキやクルーグマンとの間で2013〜15年にかけて行われた長期停滞論争を山形浩生が訳しまとめたもの。アルヴィン・ハンセンは1930年代に長期停滞という概念を提唱した経済学者で、この本にはその演説「経済の発展と人口増加の鈍化」の抄訳も収録されています。 目次は以下の通り。 はじめに―... 続きを読む
トーマス・シェリング『ミクロ動機とマクロ行動』 - 西東京日記 IN はてな
2005年にノーベル経済学賞を受賞し、昨年の12月に95歳で亡くなったトーマス・シェリングの比較的一般向けに書かれた本。 ノーベル経済学賞を受賞したシェリングですが、経済学者というよりはゲーム理論の専門家と言うほうがその業績はわかりやすいかもしれません。実際、主著の『紛争の戦略』は、日本では政治学の名著を紹介する「ポリティカル・サイエンス・クラシックス」の1冊として刊行されており、政治学にも大きな... 続きを読む
ヤン・ド・フリース『勤勉革命』 - 西東京日記 IN はてな
副題は「資本主義を生んだ17世紀の消費行動」。タイトルと副題を聞くと、「勤勉革命なのに消費行動?」となるかもしれません。 「勤勉革命」という概念は、日本の歴史人口学者の速水融が提唱したものです。速水は、江戸時代の末期に、家畜ではなく人力を投入することで収穫を増やす労働集約的な農業が発展したことを、資... 続きを読む
ケネス・シーヴ、 デイヴィッド・スタサヴェージ『金持ち課税』 - 西東京日記 IN はてな
帯に「民主主義は累進課税を選択しない。選択させたのは、戦争のみだった」との言葉がありますが、これは本書の主張を端的に表している言葉といえるでしょう。 20世紀の前半には累進課税が強化されて格差の縮小が見られたが、後半からは累進課税の弱まりによって格差が拡大しつつあるということはピケティの研究などによ... 続きを読む
神林龍『正規の世界・非正規の世界』 - 西東京日記 IN はてな
近年、論文が業績の中心となり、テクニカルな内容も増えている経済学の中で、「○○の世界」というタイトルの本はあまり見ないような気がします(社会学だとありそうですが)。 しかも、1972年生まれの著者にとってこれが初の単著。ずいぶん思い切ったタイトルだなと感じたのですが、そのタイトルにふさわしい内容とボリュームです。『あゝ野麦峠』の話から戦前の日本の職業紹介の制度を分析するという、「これが経済学の本な... 続きを読む
ピーター・テミン『なぜ中間層は没落したのか』 - 西東京日記 IN はてな
著者は著名な経済史家で、経済学の立場としてはケインジアンだといいます。そんな著者が「なぜ中間層は没落したのか」というタイトルの本を書いたというと、近年の経済の動きと格差の拡大を実証的に分析した本を想像しますが、本書はかなり強い主張を持った論争的な本です。 現在、アメリカの社会は左右に分極化している... 続きを読む
2010年代、社会科学の10冊 - 西東京日記 IN はてな
2010年代になって自分の読書傾向は、完全に哲学・思想、心理、社会、歴史といった人文科学から政治、経済などの社会科学に移りました。その中でいろいろな面白い本に出会うことができたわけですが、基本的に社会科学の本、特に専門書はあまり知られていないと思います。 人文科学の本は紀伊國屋じんぶん大賞など、いろい... 続きを読む
遠藤晶久/ウィリー・ジョウ『イデオロギーと日本政治』 - 西東京日記 IN はてな
まず、この本のインパクトは帯にも書かれている、「維新は「革新」、共産は「保守」」という部分だと思います。 若年層に政党を「保守」、「革新」の軸で分類されると、日本維新の会を最も「革新」と位置づけるというのです。そして、以下のグラフ(134p図5.1)から読み取れるように、20代が無知だからというのではなく... 続きを読む
黒川みどり『被差別部落認識の歴史』 - 西東京日記 IN はてな
中学で公民を教えるときに、教えにくい部分の1つが被差別部落の問題です。 問題を一通り教えた後、だいたい生徒から「なんで差別されているの?」という疑問が出てくるのですが、歴史的な経緯を説明できても、現代でも差別が続いている理由をうまく説明することはできないわけです。 もちろん、地域によっては子どもであ... 続きを読む
羅芝賢『番号を創る権力』 - 西東京日記 IN はてな
鳴り物入りで導入されたマイナンバー制度ですが、そのしょぼさと面倒臭さにうんざりしている人も多いでしょう。行政事務を効率化し、国民にもさまざまな利便性を提供すると言われていたマイナンバーですが、蓋を開けてみればマイナンバーの通知カードをコピーしてハサミで切ってのりで貼るというアナログな作業が増えた... 続きを読む
谷口将紀『現代日本の代表制民主政治』 - 西東京日記 IN はてな
本書では1ページ目にいきなり下のようなグラフが掲げられており、「この図が、本書の到達点、そして出発点である」(2p)と述べられています。 グラフのちょうど真ん中の山が有権者の左右イデオロギーの分布、少し右にある山が衆議院議員の分布、そしてその頂点より右に引かれた縦の点線が安倍首相のイデオロギー的な位... 続きを読む
小宮友根『実践の中のジェンダー』 - 西東京日記 IN はてな
副題は「法システムの社会学的記述」。 正直、タイトルでこの本を「面白そう」と感じる人は少ないと思いますが(「法システム」という表現に「ルーマンか!」と反応する人くらいかな?)、これは面白い! ここ数年、以前ほど社会学の本を読まなくなっていたのですが、久々に「社会学の存在意義」みたいなものを感じさせてくれた本でした。 この本は2部仕立てになっていて、第1部「社会秩序の記述」は理論編、第2部の「法的... 続きを読む