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人気順 10 users 50 users 100 users 500 users 1000 usersレヴィ・マクローリン『創価学会』 - 西東京日記 IN はてな
社会的にも政治的にも日本で最も大きな影響力を有していると思われる宗教団体の創価学会について、カナダに生まれ、現在はアメリカのノースカロライナ州立大学の哲学・宗教学部教授を務める人物が論じた本。 副題は「現代日本の模倣国家」で、創価学会をミニ国家になぞらえた見取り図のもとで議論が行われているのですが... 続きを読む
淺野良成『賛同・許容・傍観された自民党政治』 - 西東京日記 IN はてな
ちょっと変わったタイトルのように思えますが、まさに内容を表しているタイトルです。 第2次安倍政権がなぜ長期にわたって支持されたのかという問題について、その理由を探った本になります。 本書の出発点となているのは、谷口将紀『現代日本の代表制民主政治』の2pで示されている次のグラフです。 グラフのちょうど真... 続きを読む
羅芝賢・前田健太郎『権力を読み解く政治学』 - 西東京日記 IN はてな
『番号を創る権力』の羅芝賢と『市民を雇わない国家』の前田健太郎による政治学の教科書。普段は教科書的な本はあまり読まないのですが、2010年代の社会科学においても屈指の面白さの本を書いた2人の共著となれば、これは読みたくなりますね。 morningrain.hatenablog.com morningrain.hatenablog.com で、読んだ感想で... 続きを読む
トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』 - 西東京日記 IN はてな
本書を「『21世紀の資本』がベストセラーになったピケティが、現代の格差の問題とそれに対する処方箋を示した本」という形で理解している人もいるかもしれません。 それは決して間違いではないのですが、本書は、そのために人類社会で普遍的に見られる聖職者、貴族、平民の「三層社会」から説き始め、ヨーロッパだけでは... 続きを読む
岸政彦/梶谷懐編著『所有とは何か』 - 西東京日記 IN はてな
私たちはさまざまなものを「所有」し、その権利は人権の一部(財産権)として保護されています。「所有」は資本主義のキーになる概念でもあります。 同時に、サブスクやシェア・エコノミーの流行などに見られるように、従来の「所有」では捉えきれない現象も生まれています。 本書は、この「所有」の問題について研究者... 続きを読む
東島雅昌『民主主義を装う権威主義』 - 西東京日記 IN はてな
「民主主義」の反対となる政治体制というと「独裁」が思い浮かびますが、近年の世界では金正恩の北朝鮮のようなわかりやすい「独裁」は少なくなっています。 多くの国で選挙が行われており、一応、政権交代の可能性があるかのように思えますが、実際は政権交代の可能性はほぼ潰されているような体制の国がけっこうありま... 続きを読む
平野克己『人口革命 アフリカ化する人類』 - 西東京日記 IN はてな
去年の夏に出たときに読もうと思いつつも読み逃していたのですが、これは読み逃したままにしないでおいて正解でした。 著者が2013年に出した『経済大陸アフリカ』(中公新書)は、アフリカの現実から既存の開発理論に再考を迫るめっぽう面白い本でしたが、今作も人口について基本的な理論を抑えつつ、それに当てはまらな... 続きを読む
玉手慎太郎『公衆衛生の倫理学』 - 西東京日記 IN はてな
新型コロナウイルスの感染拡大の中で、まさに本書のタイトルとなっている「公衆衛生の倫理学」が問われました。外出禁止やマスクの着用強制は正当化できるのか? 感染対策のためにどこまでプライバシーを把握・公開していいのか? など、さまざまな問題が浮上しました。 そういった意味で本書はまさにホットなトピックを... 続きを読む
ルーク・S・ロバーツ『泰平を演じる』 - 西東京日記 IN はてな
副題は「徳川期日本の政治空間と「公然の秘密」」。 何とも面白そうなタイトルと副題ですが、翻訳に関しても監訳を務める三谷博が本書の面白さに注目してネット上で訳者を募り、それに応じた友田健太郎が訳したというもので、今までにはない切り口で江戸時代の政治空間を分析しています。 「ホンネとタテマエ」というの... 続きを読む
竹中佳彦・山本英弘・濱本真輔編『現代日本のエリートの平等観』 - 西東京日記 IN はてな
近年、日本でも格差の拡大が問題となっていますが、その格差をエリートたちはどのように捉えているのでしょうか? 本書は、そんな疑問をエリートに対するサーベイ調査を通じて明らかにしようとしたものになります。 このエリートに対する調査に関しては、1980年に三宅一郎・綿貫譲治・嶋澄元の3人が実施し、分析から蒲島... 続きを読む
ジェレミー・ブレーデン/ロジャー・グッドマン『日本の私立大学はなぜ生き残るのか』 - 西東京日記 IN はてな
なんとも興味を引くタイトルの本ですが、実際に非常に面白いです。 2010年前後、日本では大学の「2018年問題」が新聞や雑誌を賑わせていました。これは2018年頃から日本の18歳人口が大きく減少し始め、それに伴って多くの私立大学が潰れるだろうという予想です。 ところが、2022年になっても意外に私立大学は潰れていま... 続きを読む
倉田徹『香港政治危機』 - 西東京日記 IN はてな
2014年の雨傘運動、2019年の「逃亡犯条例」改正反対の巨大デモ、そして2020年の香港国家安全維持法(国安法)の制定による民主と自由の蒸発という大きな変化を経験した香港。その香港の大きな変動を政治学者でもある著者が分析した本。 香港返還からの中国と香港のそれぞれの動きを見ながら、さまざまな世論調査なども引... 続きを読む
よりよい床屋政談のために〜2021年衆院選のためのブックガイド〜 - 西東京日記 IN はてな
岸田内閣が成立し、衆議院の総選挙が10月31日に決まりました。政治好きとしては「総選挙」と聞くだけでなんとなく盛り上がってしまうのですが、ここ数回の国政選挙に関してはその結果に不満を持っている野党支持者、あるいは無党派の人も少なくないと思います。 「なぜ自民が勝ってしまうのか?」、「毎回野党に勝ち目が... 続きを読む
黒川みどり『被差別部落認識の歴史』 - 西東京日記 IN はてな
中学で公民を教えるときに、教えにくい部分の1つが被差別部落の問題です。 問題を一通り教えた後、だいたい生徒から「なんで差別されているの?」という疑問が出てくるのですが、歴史的な経緯を説明できても、現代でも差別が続いている理由をうまく説明することはできないわけです。 もちろん、地域によっては子どもであ... 続きを読む
ヤン・ド・フリース『勤勉革命』 - 西東京日記 IN はてな
副題は「資本主義を生んだ17世紀の消費行動」。タイトルと副題を聞くと、「勤勉革命なのに消費行動?」となるかもしれません。 「勤勉革命」という概念は、日本の歴史人口学者の速水融が提唱したものです。速水は、江戸時代の末期に、家畜ではなく人力を投入することで収穫を増やす労働集約的な農業が発展したことを、資... 続きを読む
上林陽治『非正規公務員のリアル』 - 西東京日記 IN はてな
ある制度が良いのか悪いのかというのはなかなか難しく、簡単には判断を下せないケースが多いのです。例えば、選挙制度は小選挙区制がいいのか比例代表制がいいのか、日本型の雇用制度が良いのか悪いのか、といったことは一概には判断を下せないと思っています。 そんな中でも、個人的に明確に「悪い制度だ」と考えている... 続きを読む
坂口安紀『ベネズエラ』 - 西東京日記 IN はてな
副題は「溶解する民主主義、破綻する経済」で、中公選書の1冊になります。 ベネズエラに関しては、コロナ前に経済がほぼ崩壊しているといったニュースが流れていました。その後、コロナ禍の影響でベネズエラに関するニュースは減っていますが、この状況で経済が好転しているとは思えません。 ただ、それにしても産油国で... 続きを読む
スーパークレイジー君の当選によせて - 西東京日記 IN はてな
2021年1月31日の埼玉県戸田市の市議会議員選挙(定数26)において、2020年の都知事選でもそのパフォーマンスが話題なったスーパークレイジー君こと西本誠氏が25番目の912票の得票で初当選しました(政治家としてもスーパークレイジー君として活動するとのことなので、以下もスーパークレイジー君で)。 都知事選では「百... 続きを読む
蒲島郁夫/境家史郎『政治参加論』 - 西東京日記 IN はてな
政治学者で現在は熊本県知事となっている蒲島郁夫の1988年の著作『政治参加』を、蒲島の講座の後任でもある境家史郎が改定したもの。基本的には有権者がどのように政治に参加し、そこにどのような問題があるのかを明らかにした教科書的な本になります。 このように書くと、本書はあくまでも政治学を学ぶ人向けの本に思え... 続きを読む
小熊英二、樋口直人編『日本は「右傾化」したのか』 - 西東京日記 IN はてな
ここ最近話題になっている「右傾化」の問題。「誰が右傾化しているのか?」「本当に右傾化しているのか?」など、さまざまな疑問も浮かびますが、本書はそういった疑問にさまざまな角度からアプローチしています。 実は、国民意識に関しては特に「右傾化」という現象は見られないが、自民党は以前より「右傾化」している... 続きを読む
ピーター・テミン『なぜ中間層は没落したのか』 - 西東京日記 IN はてな
著者は著名な経済史家で、経済学の立場としてはケインジアンだといいます。そんな著者が「なぜ中間層は没落したのか」というタイトルの本を書いたというと、近年の経済の動きと格差の拡大を実証的に分析した本を想像しますが、本書はかなり強い主張を持った論争的な本です。 現在、アメリカの社会は左右に分極化している... 続きを読む
駒村圭吾・待鳥聡史編『統治のデザイン』 - 西東京日記 IN はてな
憲法というと、どうしても日本では9条と人権をめぐる条項に注目が集まりがちですが、国会、内閣、裁判所、地方自治といった日本の統治のしくみを決めているのも憲法です。 ケネス・盛・マッケルウェインは日本国憲法が他国の憲法に比べて条文数も文字数も少なく、規律密度が低いことを明らかにしましたが、そのせいもあ... 続きを読む
コロナと読書 - 西東京日記 IN はてな
タイトルからするとコロナ禍の中での読書生活の記録みたいに思えますが、そうではなくて、1学期も終わって少し落ち着いたところで、新型コロナウイルス問題を考える上で参考になった本をいくつかあげておこうというエントリーです。 とは言っても、医学的な問題には疎いですし、ウイルスや感染症についての本を読み込ん... 続きを読む
谷口将紀『現代日本の代表制民主政治』 - 西東京日記 IN はてな
本書では1ページ目にいきなり下のようなグラフが掲げられており、「この図が、本書の到達点、そして出発点である」(2p)と述べられています。 グラフのちょうど真ん中の山が有権者の左右イデオロギーの分布、少し右にある山が衆議院議員の分布、そしてその頂点より右に引かれた縦の点線が安倍首相のイデオロギー的な位... 続きを読む
木下衆『家族はなぜ介護してしまうのか』 - 西東京日記 IN はてな
「家族はなぜ介護してしまうのか」、なんとも興味をそそるタイトルですが、本書は、認知症患者のケアにおける家族の特権的な立場と、それゆえに介護専門職というプロがいながら、家族が介護の中心にならざるを得ない状況を社会学者が解き明かした本になります。 本書は専門書であり、イアン・ハッキングや「概念分析」の... 続きを読む