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人気順 5 users 50 users 100 users 500 users 1000 usersアニメーション版「この世界の片隅に」を捉え直す(17)風呂敷包み – マンバ通信
「この世界の片隅に」でわたしたちがまず引き込まれるのは、幼いすずが船を下り、風呂敷を背負い直す場面だろう。わたしは原作を読んだときにまずこの小さな所作を描いた3コマに引き込まれたのを覚えている。 【図1】 1コマ目、すずは力まかせによっこらせと背負うのではなく、固い壁に風呂敷を壁に押し当てるという謎めいた所作をする。しかし2コマ目で、その所作にはちゃんと訳があって、風呂敷をちょうど肩に来るような高... 続きを読む
アニメーション版「この世界の片隅に」を捉え直す(12)右手が知っていること – マンバ通信
アニメーションには、原作のマンガにはない小さなエピソードがいくつか散りばめられているが、中でも印象に残るのは、晴美とすずのやりとりだ。 たとえば、 19 年 9 月、まだまだ暑い畑で、すずと晴美が何かを収穫しており、晴美は黄色い花を手にしている。次のカットでは、カボチャに墨で顔を描いたものが本棚の前に置かれており、そばに添えられた黄色い花が色鮮やかなので、短いカットながら印象に残る。おそらく顔を描... 続きを読む
アニメーション版「この世界の片隅に」を捉え直す(8)虫たちの営み – マンバ通信
さて、正月早々、これはトリならぬ虫の話。 「戦争しよってもセミは鳴く。ちょうちょも飛ぶ。」 そう物語った19年夏のある日、すずは晴美がしゃがんで「ありこさん」を見ているのに気づく。二人はアリの行列をたどってゆくのだが、そのアニメーションの描写に、わたしは思わず笑ってしまった。アリの行きと帰りが描かれていたからだ。 (図1 『この世界の片隅に』中巻 p. 12) 原作のマンガでは、アリの行列は一列に... 続きを読む
アニメーション版「この世界の片隅に」を捉え直す(3)流れる雲、流れる私 – マンバ通信
マンガのことばはテキストで、アニメーションは声。 そう書くと、いや、マンガのセリフだって話し言葉ではないか、という反論がくるかもしれない。しかし、たとえ話し言葉であってもそれはテキストである。その多くは抑揚や強弱や速度、あるいは表情を欠いている。もちろん、?や!、あるいは太文字や書き文字による装飾によって多少の表情をつけることはできるし、そうした装飾付きのテキストから頭の中で誰かが話しているところ... 続きを読む
アニメーション版「この世界の片隅に」を捉え直す(2)「『かく』時間」 – マンバ通信
マンガ「この世界の片隅に」には、「かく」場面が多い。鉛筆で、絵筆で、羽で。すずはかくことが好きだ。婚礼の日ですら、嫁ぎ先の片隅に居場所を見つけ、行李の前に座り込んで兄に絵入りのはがきを書く。祝いの席で出た食べものをひとつひとつ鉛筆で絵に描いてから、「兄上のお膳も据ゑましたよ。せめて目でおあがり下さい。」とことばを添える。しかし翌朝、はがきの表に自分の名前を書き終えたすずの手がふと止まる。すずは新し... 続きを読む
アニメーション版「この世界の片隅に」を捉え直す(2)「『かく』時間」 – マンバ通信
マンガ「この世界の片隅に」には、「かく」場面が多い。鉛筆で、絵筆で、羽で。すずはかくことが好きだ。婚礼の日ですら、嫁ぎ先の片隅に居場所を見つけ、行李の前に座り込んで兄に絵入りのはがきを書く。祝いの席で出た食べものをひとつひとつ鉛筆で絵に描いてから、「兄上のお膳も据ゑましたよ。せめて目でおあがり下さい。」とことばを添える。しかし翌朝、はがきの表に自分の名前を書き終えたすずの手がふと止まる。すずは新し... 続きを読む